AA-CUPとは、アジア地域のサッカーを愛好する建築家が、スポーツを通じて文化交流をすることを目的とするJIAの公式プログラムです。2002年の日韓ワールドカップを契機に、両国の文化交流を促進する目的で、当初は『韓日建築家親善サッカー大会』として発足しました。「大韓建築士協会」(Korea Institute of Registered Architects ,KIRA)と「日本建築家協会」((The Japan Institute of Architects,JIA)との、サッカーを通じた建築家同士の交流を目的とした、交流事業です。2002年第1回大会の巣鴨会場から始まり、隔年で韓国と日本のホームアンドアウェイ方式で開催されてきましたが、2006年の第6回済州島大会からは中国・上海の建築家チーム「上海市建築学会」(The Architectural Society Of Shanghai China)も加わった3カ国大会となり、それ以来3カ国で年ごとに会場を移して開催されているものです。試合の前にはそれぞれの開催国の建築についてのセミナーが催され、試合後には表彰式と懇親会が開かれるといった内容になっております。日本チームの代表は、日本建築家協会AA-CUP実行委員会委員長の岩村和夫氏が務められ、今回も日本チーム代表として国際交流とサッカープレイの両方で日本代表メンバーをリードしていただきました。日本チームはJIA会員を中心に、建築設計者、建築メーカー関係者、学生その他多くのボランティアの方々の協力によって成り立っております。

そして、今年2010年のAA-CUP第10回大会は、上海で行われました。

私は日本代表チームに初参加ということで多少の不安と期待に胸を躍らせての参加です。

ユニフォームも各国のサッカーA代表と同じものを着るということで、国を代表しているかのような緊張感が有ります。

初日の6/19(土)夜には、ワールドカップ南アフリカ大会の日本対オランダ戦が行われたことで、上海のホテル1階のレストランに全員集合しワールドカップ観戦です。1回戦のカメルーンに日本が勝っていたこともあって、観戦にも熱が入ります。試合は残念ながらの結果でしたが、翌日の自分たちの試合に向けてのイメージ作りにはとても有意義な時間となりました。そして、私はここでほとんどのツアー参加メンバーと初顔合わせとなったわけです。

2日目6/20(日)は江湾体育場敷地内のセミナー会場に日・韓・中の選手が集合し、各国代表の挨拶、今回は都合により不参加であったJIA芦原会長のビデオによる挨拶とメッセージの後、上海万博のマスタープランを行った上海建築家の陳文菜(Chen Wenlai)氏によるセミナーを約2時間受けました。

過去の万博のデータを元に、論理的かつ機能的にプランニング、ゾーニングしていった経緯や、それぞれのパビリオンのコンセプトや、CGまでに渡る幅広い内容でした。万博会場だけではなく当然ながらそれに至る交通網までも綿密に計画されており、さぞ大変なプロジェクトであっただろうことが伺えます。

上海万博マスタ―プランについてのセミナー            日本代表選手

昼食後にはいよいよサッカーの試合です。会場は日本の国立競技場の4倍ほどもあろうかという広さ。コートが4面もあるオール天然芝の素晴らしい会場です。

チームは各国2チームずつ。2ブロックごとに総当たり戦をし、それぞれの1位チームが決勝戦を行う形式で試合が行われました。

各国のサッカースタイルは、不思議なことに各国のA代表とよく似ています。それぞれが持っている国民性がサッカーのプレイに表われるのか、あるいはA代表のプレイを見て知らず知らずに真似てしまうのかは解りませんが、中国チームは厳しい守り。韓国チームはボディコンタクト強くシュートが強力。日本はパスワーク上手いがシュートが苦手などといった具合です。

日本チームはA・B両チームともに1勝1敗で、決勝には残れず。決勝戦は韓国対中国で、韓国チームが優勝となりました。

韓国チーム優勝          懇親会で各国代表の歌の披露

全試合終了後には、会場を移して交流会が催されました。

各国お互いに記念品交換や試合の講評などが行われ、和気あいあいとした雰囲気の交流会です。韓国代表全員がまず率先して韓国の歌をステージで披露し、その後日本代表から中国代表へと指名で歌の披露という展開。日本代表は全員で「上を向いて歩こう」などを披露し、これをきっかけに会場全体が一気にリラックスしたムードに。

この後、岩村日本チーム代表より、来年の東京大会の計画として、UIA東京大会を睨んで、日・韓・中だけではなく、世界中の建築家によるワールドカップを開催しようという、とてもエキサイティングな企画が発表されました。今後のAA-CUPがどう進化するか楽しみです。

交流会終了時刻になってホテルに帰るバスに戻ろうとしたところ、私と仲間の二人が中国代表選手に呼び止められ、ホテルに帰らずにそのまま数人で宴会を続けることに。サッカーの話をはじめ建築の話や映画の話、生活の話などで盛り上がりました。彼らのまっすぐとこちらを見つめて話す姿に感化され、すべてオープンに色々なことを話しました。彼らは、来年開催予定の日本に来るのをとても楽しみにしているようです。

⑤中国代表選手ZHAO LEI君と私

中国代表選手ZHAO LEI君と私       蚕をイメージした上海万博日本館

3日目6/21(月)は午前中上海万博の見学をし、帰国という日程です。

前日のセミナーの内容を思い出しながら、3時間という短い時間の中で許す限り歩き続けました。アジア諸国のパビリオンが個性的で、私にとっては新鮮に感じられました。

サッカーは同じ人数で相手ゴールを奪い合うスポーツです。これは、攻撃すればそれだけ相手に攻められるリスクを負うということも言えます。だからこそ一人一人が責任を持ち、お互いを信頼することが必要であり、そこがサッカーというスポーツの魅力でもあります。そして、そういう精神を同様に持って戦った相手に対して敬意も生まれます。私は今回のツアーで、この精神こそがAA-CUPの目的であるということを理解しました。リスクを恐れず真剣にサッカーをすることによって、味方や相手に信頼感や尊敬が得られるということです。これは国際交流にとどまらず、あらゆる社会の基本のような気がします。

私が負傷した時に声を掛けてくださった中国チェアマンの呉之光Wu Zhi Guangさんを始め「上海市建築学会」の皆様、韓国の辛春圭Shin Chun Gyuさん「大韓建築士協会」の皆様、そして日本チームの全員に感謝の意を表してレポートを締めくくりといたします。

日本建築家協会発行 Bulletin2010年11月号掲載

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