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Archive for the Category ◊ コラム ◊

Author: 大川
• 日曜日, 8月 22nd, 2010

〜都市デザイン部会ツアー記〜

■ JIA 都市デザイン部会のツアーで、群馬、栃木に行ってきました。

足尾銅山は、かつての日本の近代化を支えた繁栄の時代から、産業の衰退、公害問題、そして禿げ山の再生と、産業の歴史を一気に肌で感じられるような場所です。

資源としての銅が日本の近代化に大きな貢献をしたことばかりではなく、欧米の削岩技術や製錬技術の導入により増産と効率化することを習得し、さらに製錬で発生するガスを無公害化する技術を自ら開発し、その後それらの技術の輸出によってアジア諸国の銅山開発に貢献した事を知りました。

困難を乗越えて絶えまなく技術発展していったそのスケールの大きさには驚くばかりです。

「足尾歴史館」ではこのような技術の進化と継承とそれに関わる人々の歴史を実感できます。

足尾銅山 山の下には上下600メートルずつ合計1.2キロの高低差に渡って坑道が掘られた。山には緑が戻りつつある

桐生市は、江戸幕府直轄領という時代から近代まで絹織物産業により栄え、ここもまたかつてGNPの12%程度を桐生市だけで占めていたというほどの繁栄の町だったそうです。

街にはのこぎり屋根の織物工場その他の古い建物が多く残っています。それぞれの理にかなった作りに、大いに刺激を受けました。

北側の高窓から降る柔らかい光に包まれた大きな空間は、とても居心地の良さを感じます。

過去の歴史を見ることによって、これから起こりうることを想定して建築を作っていく洞察力も建築家には必要であり、その建物が及ぼす現象や効果に対しても責任は大きいと痛感した旅でもありました。

桐生 のこぎり屋根工場跡利用アトリエ「無鄰館」オーナー北川紘一郎氏に、桐生の保存再生運動について話を伺う。

Author: 大川
• 日曜日, 2月 14th, 2010

先日、某寺の住職と話した時のことです。この住職は大学で教鞭をとっておられる方なのですが、ある日、学生にお茶を入れるように頼んだところ、ペットボトルのお茶が出てきたそうです。聞いてみると、お茶の入れ方が解らないからということでした。
これからお坊さんになろうという学生の中で、急須でお茶を入れたことがない学生がいるという事に、とても驚いたそうです。
ペットボトルのお茶は、言ってみれば既製品。建築の世界でも同様に、木、布、石に似せた塩ビ製品などの既成品が増えて、なかなか本物が見られないという話で盛り上がりました。
古い物は文化を伝えます。それに対して、新しい物は文化を作っていきます。
これはどちらも大切な事。スポーツの世界が、新素材の道具によって進化するように、建築もまた新素材によって進化しているのだと思います。
古い物を大事にするだけではなく、新しい物を受け入れる柔軟さも必要でしょう。
そうは言いながらも、お茶はやっぱり急須で入れるものだと思う私です。

大本山光長寺山門

Author: 大川
• 月曜日, 12月 07th, 2009

「弘法筆を選ばず」ということわざがあります。たしかに達人ともなれば、どんな筆でもそれな りに上手に書けるのかもしれません。しかし弘法が達人になるまでの過程で使われた筆は、きっと良い筆だったのではないだろうかと、私は思うのです。

私は趣味でギターを弾きますが、初めて良い音のするギターを手にした時には、簡単には音が出ずにストレスを感じました。しかし使いこなしてくる と、それまで感じたことのない快適さを覚えます。ギターが、弾き手の中に眠っている何かを引き出して、勝手に良い音を出し、旋律を導いてくれる様な気がす るからです。私はその時、道具によって人の技術や感性が磨かれていることを感じました。

家と人の関係も、そのようなものではないかと私は考えています。家は生活をするための道具。人のためにしっかりと考えられた良い家を持つことは、人 を磨き、生活の達人に近づけます。

良い建物が集まって出来た町は、そこに住む人や利用する人たちを磨き、その結果、良い社会が出来る。良い道具を作ることは、良い社会を作ることなの だということです。そしてそれを実行することが、建築家としての私に与えられた使命なのだと思っています。

私が日本建築家協会に入会した理由は、そのようなことからでした。建築の価値を、正しい解釈を持って世間に広めることに貢献し、社会を良い環境に していきたい。その結果、経済的な価値観だけではなく、人のために良い価値観が浸透した世界になれば、それが理想の世界なのだという気がしています。

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